ドコモTOBを例に、交付金の受け取り方から確定申告まで解説

先日、NTTドコモのTOBに関わる交付金の換金を行ってきました。

手順自体は大した事なかったのですが、その後の確定申告で変に不親切な所もあったりと、国の制度設計に疑問符を感じたりもしました。

Mito

まさか、確定申告がここまでの面倒事に発展するとは思いませんでした…

本日はTOBの際の交付金受け取りの手順の解説から、確定申告のやり方について取り上げていきますね。

目次

TOBとは?

TOBの直訳は『株式公開買付』

英語では、Take Over Bidと書かれます。

これは、とある会社の株式を、買付期間・価格・株数を公告した上で、不特定多数の人から買い集める行為をいいます。

今回みたいな完全子会社化であったり、他の会社の支配権が欲しい時にやる手法ですね。

少し前の、ライブドアとか村上ファンド報道が盛んだった時の『敵対的買収』という言い方を知ってる方も多いと思います。

今回例示したドコモの場合は、ざっくり言うと、こんな感じで募集してました。

  • TOBを仕掛けた人:NTT
  • 期間:2020年9月30日から11月16日まで
  • いくらで:一株3900円で
  • 何株:買えるだけほぼ全部

TOBの際の対応は3つ

基本、TOBの際の対応は以下の3つです。

TOBの際の対応3つ
  1. 市場で売却しちゃう
  2. TOBに応募する
  3. 放置して交付金の換金を受ける

厳密に言うと、TOBを拒否するとか新株予約権を発行して支配権を取られないようにとか色々あるのかもしれませんが、大企業の経営者とかでない限り、あまり一般投資家のとる選択肢としては現実味が欠けるので、除外してます。

①が1番簡単ですね。大体公開買い付け額に近い額で市場に放出してしまえば、税金の処理とかも特定口座であれば全自動で終了なので。ただ、TOBに伴い、今回のドコモは上場監理銘柄に指定されたので、単元未満株の売買は出来なくなりましたね。

②については、ざっくり言ってしまうと、引受先の証券会社に申し込みを行って、という流れなのですが、通常の売買と比較するとどうしても手間が多いのが正直なところです。
よほど市場価格が買い付け価格よりも低い場合を除いて、あえて②を選ぶメリットは個人投資家にはないかなと思います。

③は、そのまま放置すれば必然的に取るべき対応、となります。
私の場合は、ドコモ株は単元未満株でお試し程度の気持ちで買っていたので、①は不可、ということで、これ以外の道がなかった、という事になりますね。

交付金換金の手順

前置きが長くなりましたが、ここから、TOBの際の交付金換金の手順を書いていきますね。

配当金の受け取り方法を、銀行振り込みに設定している方は、これ以降の手続きは不要で、交付金は勝手に振り込まれて終わりです。終わりですが、このページをご覧の圧倒的多数の方々は特定口座やNISA口座を運用されていると思われるので、この件については触れません。

交付金銭領収証と計算書の受け取り

下の画像のような交付金銭受領証が届きます。
これを使って現金を受け取ります。
今回私は単元未満株として10株だけ持っていたので、3900円×10株で39000円を受け取れます。

交付金銭領収証、黒塗りばかりですみません…

黒塗りだらけですみません…他にもいろいろな書類が入ってますが、これがないと始まりません。

最後の確定申告では交付金銭計算書も必要になります。パッと見紙切れみたいなので、絶対捨てないようにしてくださいね。

交付金銭受領証に、印鑑をつく

普通は領収証はお金を受け取った後で印鑑をつきそうなものですが、この段階で印鑑をついておくか、金融機関に印鑑を持って行って、印鑑をつくという作業が必要になります。
(表面の「受領印」のところです)

ちなみに、これはサインは不可という事で、私の場合は受け付けてもらえませんでした…
窓口でその理由を尋ねてみましたが、曰く、これが「受領印、またはサイン」であればOKみたいですが、NTTドコモが印鑑を指定しているから印鑑以外は受付できない、というのがその理由みたいです。

印鑑忘れは、近隣に郵便局や金融機関がない場合は印鑑を取りに出直すという何とも面倒なことになりますので、皆さんも気を付けてくださいね。

交付金銭領収書をゆうちょか郵便局に渡して、お金を受け取る

受け取りはゆうちょ銀行または郵便局で現金を受け取る形になります。
この金額が5万円を超えると、「通常現金払(払出証書)」が郵便局から送られてくるのですが、やることは大きくは変わりません。

受け取った金額が間違いないかを確認して、おしまいです。

確定申告の準備をする

今回の記事、これを一番書きたかったので書いたようなものなんですよね。

というのも、普通は皆さんは税金の面倒事が嫌で、投資をする際に特定口座を開設しているものと思います。
が、特定口座というものは、その証券口座内で起きた取引に関しては全自動でやってくれますが、いったん証券口座から飛び出した取引に関しては一切面倒を見てくれません。

TOBの結果何が起こるか…今回の場合は上場廃止、ですよね。
という事は、その株式はもうこの世に存在しなくなるんですよね。

今回の場合、私は株式の口数に応じた現金交付を受けたにすぎず、株式市場での売買は一切してないですよね。

という事は、口座内での上場廃止直前の評価額までは、特定口座でやってくれますが、その後から現金交付までの差額については、特定口座では一切面倒を見てもらえないので、自分で差額を計算して、確定申告までもっていく必要があります。

この場合は、一般株式(非上場株)の譲渡損益として計算すれば良さそうです。

NTTドコモが一般株式と判断した根拠は、こちらのページを参考にしています。

確定申告の書き方

ここでは、あくまで「私はこうした」という内容を書いていきます。
税の扱いは所管の税務署や国税に問い合わせの上、判断を仰いでください。
内容には細心の注意は払っておりますが、ここに書いてある通りに確定申告を行った際に万が一不利益を被った場合、当方では責任は一切負わないこととしますので、あらかじめご承知おきください。

私はこちらのページから、ネット上で確定申告の書類を作り、郵送で提出しました。
e-TAXは本人確認のためになんと一度税務署に行かないといけないので、何のためのオンライン化なのかよくわからなかったので、毎年これでやってます(冒頭で書いた変に不親切なところ、というのの一つ目はここですね)。

こちらの画面の一番下までスクロールすると、こんな画面が出てくるので、赤枠の「株式等譲渡職所得等」の「入力する」をクリックしました。

クリック先で、総合課税か分離課税かを聞かれましたが、私はそもそも配当が来る前にいきなりTOBで終了となったので、「配当金なし」でスクロールしました。

今回の譲渡所得は一般株式にかかわる話なので、以下のようにチェックボックスにチェックを入れてから進めました。

ここから先は、以下の情報を参照しながら、申告書を作成していった感じです。

最終的に必要になる情報
  1. ドコモ株を購入した日(複数回購入の場合は最新の購入日)
  2. ドコモ株を購入した時の取得価格
  3. 譲渡年月日(要は上場廃止日)=12月25日
  4. 譲渡価格=3900円×株数

あとは、内容をチェックしながら確認を続けていってください。

最後に、交付金銭計算書を確定申告の添付書類として、終了です。

TOBに関して、制度は非常に不親切と言わざるを得ません

実際に作業を行った所感ですが、とにかく面倒くさいです。特定口座のありがたみが身に染みて分かりましたし、単元未満株での売買という行為のリスクを再認識してしまいました。

少額から株取引できるという単元未満株売買のメリットは特筆すべきものがありますが、国の制度が全く追い付いていないと感じる次第です。
本当に「貯蓄から投資」を国が標榜するのであれば、こういった細かい面倒事はどんどん省くなり特定口座内で処理できるようにするなりした方がいいんじゃないかなと思います。

しかも、今回のTOBに限らず、各所で言われる「所管税務署に判断を仰いでくださいね」というのも、不親切ポイントですよね。
住む場所が変わるごとに、そして税務署のトップとかが変わったりするごとに我々は一喜一憂しないといけないわけですし。

そして何より、こういった面倒事がこんな些細な金額で発生することこそ、最大の不親切ポイントであると思っています。
繰り返しになりますが、記載をするこちら側も面倒だし、印刷される書類も膨大です。

という事は、確認をする税務署側も国税の方々もこんな面倒事が毎年確定申告の時期にかけて恒例行事化しているわけで、我々以上に皆さん疲弊する一方なんじゃないかな、と危惧します。

行革ってこういうところでこそ力を発揮してほしいな、と思ったのは、果たして私だけでしょうか。

まとめ

最後は若干個人的な思いを書いてしまいましたが、こういった行政のあおりを受けるのは我々だと思いますし、チェックをする側も苦しいと思います。

Mito

こういう時こそ、政治家の出番なんじゃないかな、と、少額の取引を通じて感じた次第です…誰もが気持ちよく取引に集中できる日が来るといいですね。

この記事が何かのお役に立てば幸いです。

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