以前、米国株を運用するなら、インデックス型の投資信託を推奨する記事を書きました。ただ、投資方針は人それぞれですし、各アセットの特徴や好みというものもあります。
パフォーマンスを考えたら投資信託がベストなんですが、米国株の現物(特にETF)を運用してみる事で得るものもありますよ!
今回は米国株のETFのあらましから、オススメできる銘柄、メリットデメリットまでを取り上げてみたいと思います。
米国株ETFをススメる理由
インデックスって何?
インデックスと一口に言っても、中々スラスラと答えられない方も多いかもしれませんね。
ざっくり言ってしまうと、インデックスとは、『特定の基準を元に集められた企業の株価を、決まった法則で混ぜて割った数字』という事になります。
より詳しくは、こちらのページをどうぞ。よろしければ過去記事もご参照くださいね。
色んな会社の株の集合体なので、一株あたりの影響が希釈される、という特徴があります。
なぜインデックスがいいのか?
上でも関連記事でも書きましたが、インデックスは良くも悪くも一株あたりの影響が希釈されてしまうので、大きく勝てない代わりに大きく負ける事もない、というのが特徴です。
有名どころは、NYダウとか日経平均、S&P500といった所ですね。よろしければこちらの解説もどうぞ。
個別株運用には時間がかかります…
元々資産運用が好きな立場から言わせてもらうと、本来であれば個別の株の財務とかを見ながら、どの株を買うのがいいのかとか思考を巡らせて、ひたすらバイアンドホールドするのも楽しいと思っていますし、値動きも慣れればそれなりに楽しいとも思います。
ただ、現実問題として、おそらくここを見ている方のうちかなりの割合の方は、こう言った事に時間を割く余裕はないのではないかと推察します。
好きな人にはとても楽しい時間になるでしょうが、そうでなければ、銘柄分析は苦行でしかないと思います。
そういう意味では、インデックスを丸ごと買う、という行為は一般投資家の大多数にとって、とても理にかなっていると思います。
個別運用ではインデックスには勝てません…
もう一つ、よく取り上げられるお話ですが、アクティブファンドはインデックスファンドに勝てません、と聞いたことがある方も多いと思います。
上の関連記事でも触れているのでここでは軽く書くに留めますが、ざっくりこういうことです。
- 銘柄選定にコストがかかる
- 選定した銘柄の成績は結局は市場次第
- 個別株あたりの影響が大きい
- 相場の値動きに対する人としての感情が無視できない
個人投資家が個別株を運用した場合、と読み替える事もできますね。
逆説的ではありますが、アクティブに運用すれば、変動幅も大きいので、瞬間的にはインデックスに勝つ事ができる、とも読めるので、ここに絶対の自信がある方は、がっつりアクティブにやればいいんだと思います。
ただ、少なくとも私は相場に向き合って頑張っていたら、100%大負けする自信があります…
ETFって何?
これは、Exchanged Traded Fundの略で、要するに投資信託を株みたいにして、株式市場に上場したもの、の事です。
株と同じ感覚で買える投資信託、と言ってもいいですね。
一口あたりの価格が高くなるのはデメリットですが、投資信託とは違って好きな時に好きなだけ売買できたり、投資信託よりも経費率が低い、といった特徴があります。
米国株ETF、どのインデックスがいい?
インデックスの選択肢は実質2つ
上でリンクを貼ったWikiで数えてみたら、北米のインデックスは全部で14あるそうです。
ですが、若干乱暴な言い方になりますが、インデックスファンドを選ぶ際に重要になるのは、適度な分散と、どれだけ人気があるか、なのかなと思っています。
そうなると、選択肢は必然的に以下二つです。
- S&P500
- CRSP USトータルマーケットインデックス
そのインデックスに人気があれば、皆が注目もするし、お金だって集まってきやすいですよね。
例えばS&P500であれば、これはS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出していて、商標を持っているものです。
という事は、このインデックスの名前を使っているインデックスファンドは、必然的にS&P社に商標使用料を払わないといけないのは、想像がつくと思います。
閑古鳥がなくインデックスであっても、押しも押されもせぬ人気インデックスであるS&P500であっても、その辺は容赦なく請求されることと推察します。
であれば、資金が集まり投資家も集まってくる方が、そういった固定費の影響が一口あたりの手数料として希釈されるのも、また必然ですよね。
流動性なんかにも関わってくるので、ここは押さえておくべきと思います。
オススメ銘柄、メリットデメリット
オススメは5つ、どれでもいいです
では、最後にオススメの米国株ETFをご紹介します。VTIのみがCRSPに連動、あとは全部S&P500に連動しています。
正直、この中のどれを選んでも大外れはしないと思うので、好みで選んじゃっていいと思います。
純資産総額 | 経費率 | |
VOO | 22兆1580億円 | 0.03% |
IVV | 28兆1680億円 | 0.03% |
SPY | 36兆8717億円 | 0.09% |
VTI | 24兆1640億円 | 0.03% |
1655 | 214億円 | 税込0.0825%程度 |
詳細は表の中のリンクからご覧ください。上の表以外に、米ドルへの換金手数料と、証券会社によっては手数料がかかってきます。
一個だけ、国内ETFの1655を入れてみました。海外ETFと比較すると流動性には課題があるかもですが、二重課税問題が解消されたので、今後一般投資家への浸透がどう進むのか、ですかね。
正確には、国内では1557(SPYの国内上場版)もあるにはあるんですが、国内籍のETFじゃなくて、色々ややっこいので外しました。
2020年の国家予算が102兆円である事を考えると、米国株ETF4つだけで日本の国家予算を額面上は全部賄える、とも言えますので、その規模感の凄まじさが伝わるのではないかと思います。
あえてETFを運用するメリット
ひと言で言えば、『低リスクで投資の醍醐味を手軽に味わえる』といったところかなと。さらに掘り下げると、これくらいあるのかなと思ってます。
- 株の売買の基本操作をお手軽に学べる
- 相場のアップダウンを手軽に体験できる
- 配当金がまあまあな割合で入るので不労所得を実感できる
- ドル円相場を意識するようになり、ニュースに目が行くようになる
全て実体験を元に書いてます。
特に③④についての効果が大きかったなと思ってます。
配当金が入った瞬間は本当に嬉しかったですし、本来であれば見て然るべきニュースや世界情勢なんかも、米国株ETFを持つ事で一気に自分ごとになったイメージです。
ETF運用のデメリット
やはり、コストと手間、というのが1番のデメリットですね。
- ドル円換金の手間がかかる、タイミングによっては為替損が出る
- 使っている証券会社によっては、売買のコストが無視できない場合がある
- 株単価が高めなので、厳密なドルコスト平均法や配当金再投資がやりづらい
- 配当金再投資や、日を跨いだ取引の際の為替差益計算は全て手動で手間がかかる
これも実体験です。経費率安くてもその他の手数料やらなんやらで色々持ってかれるのは、ちょっとなと思います。
特にドルコスト平均法にメリットを感じるのであれば、③は大きなマイナスかなと思います。
また、配当金再投資についても、効率よく行うためにはそれなりの額で一気に保有しておかないと、実質、定額購入ではなく、定数購入になってしまいますね。
為替差益については、とんでもない金額にならない限りは税務署も現実的にどこまで追えるのか、となるのですが、だからといって適当に放置して知らんぷり、というのも、少しちがう気がしますね。
まとめ
現物のETFを運用する事について、今回取り上げてみました。
パフォーマンスや効率だけを考えれば投資信託一択なんでしょうけど、やっぱり捨てがたいという思いもありますね…
ただ、見方によっては、投資信託の自動売買はやってる感がないとも捉えられるので、効率や目標への最短距離と、モチベーションとを天秤にかけて、その人にとってのベストな比率で挑むのが、最終的には必要なのかなと思います。
この記事が何かのお役に立てば幸いです。
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