最近は米国株のETFの名前を本当によく聞くようになりました。
でも、その中の代表格、VTIってもうすでに結構株価上がっちゃってて、手を出しづらいという方もいるのではないでしょうか。
そんな方のために、今回はVTIと似たようなコンセプトのETFでありながら、比較的株価が抑えられているSPTMについて、VTIとの比較を交えながら書いていこうと思います。
この記事を読むことで以下のことがわかりますので、参考にしてください。
いきなり結論!
VTIの株高感が気になる方はSPTMをメインで買い付ければ大外れはしないと思います!
- SPTMの概要が理解できます
- SPTMとVTIの特徴がわかり、自分の状況に合わせた投資判断がつくようになります
SPTMの概要
SPTMのそれぞれの項目について、VTIと比較をしながら説明していきますね。
正式名称は、SPDR ポートフォリオS&P1500コンポジット・ストック・マーケットといいます。
低コストで米国株のかなりの割合をカバーするインデックスに連動する事を目指したETFです。
日本に導入されたのは2018年頃になるのですが、米国では2000年から設定されている、歴史もそれなりにあるファンドといえます。
VTIとの比較ですが、表にしてしまうと、以下のような感じです。
数字は2021年10月31日現在のものです。
SPTM | VTI | |
運用会社 | ステートストリート社 | バンガード社 |
ベンチマーク | S&P コンポジット1500 | CRSP USトータル ストックマーケット |
経費率 | 0.03% | 0.03% |
純資産総額 | 58億ドル | 2831億ドル |
市場価格 | 56.49ドル | 236.91ドル |
分配金利回り | 1.28% | 1.22% |
それぞれの項目について、より詳しく見ていきますね。
SPTMとVTIのベンチマーク
SPTMとVTI、それぞれのベンチマークを比較します。
SPTMはS&Pコンポジット1500(以下S&P1500)、VTIはCRSP USトータルストックマーケット(以下CRSP)に連動する事を目指しています。
どちらもほぼ全米の株をカバーすると言う意味では似てますが、比べてみると結構違いがあります。
S&P1500 | CRSP | |
構成銘柄数 | 1,506 | 約4,000 |
特徴 | ある程度のフィルターをかけて 全米の株の時価総額を 90%以上カバー | ほぼ全米の株をカバー |
CRSPは方はわかりやすいですよね。
これ一本で全米が買える!というのは非常に単純明快です。
それに対して、S&P1500の方は、簡単にいうとS&P500(大型株)+S&P400(中型株)+S&P600(小型株)、というものです。
この指標に組み入れてもらうには、以下のような厳しい基準をクリアする必要があります。
①出来高(金額)が浮動株調整後時価総額を上回る事
②出来高(株数)が一日25万株を上回る事
③直近4四半期の純利益合計が黒字
④直近四半期の純利益が黒字
ステートストリートHPより
S&P1500は、S&P500よりは投資対象は分散されるが、ある程度選別された精鋭の集合体である、と私は考えています。
SPTMとVTI、両者の中からどちらか一方に投資判断をする際は、まずはこの差をどう考えるか、がポイントになります。
両者のパフォーマンスも載せておきます。
SPTM | VTI | |
3ヶ月 | 9.14% | 8.31% |
1年間 | 50.46% | 54.52% |
3年間 | 17.81% | 18.41% |
5年間 | 16.89% | 17.41% |
少しだけVTIが上ですが、直近はSPTM、みたいな感じですね。SPTMは良くも悪くも選別が働いているので、全米の勢いを受けきれないとも言えますし、下がり局面の時に、もしかしたら下落幅低いかも?という考えもできそうです。
下にも書く業種別比率とかが効いてるものと思われますし、投資をする人の嗜好や状況次第で、どっちがいいか、は回答が変わると思います。
いずれにせよ、どちらも広く分散されているので、どっちを持っていても大外れはないと思います。
SPTMのベンチマークも十分に分散が効いている
SPTMとVTIの構成銘柄
構成銘柄は、上位陣を比較するとそこまで大きな差はないです。
SPTM | VTI | |
1位 | Apple 5.40% | Apple 4.70% |
2位 | Microsoft 5.03% | Microsoft 4.5% |
3位 | Amazon 3.77% | Amazon 3.3% |
4位 | Facebook 1.95% | Alphabet 3.0% |
5位 | AlphabetA 1.76% | Facebook 1.6% |
6位 | AlphabetC 1.70% | Tesla 1.3% |
7位 | Tesla 1.40% | JP Morgan Chase 1.1% |
8位 | BerksheirHathaway1.33% | BerksheirHathaway1.1% |
9位 | JP Morgan Chase 1.24% | Johnson&Johnson 1.1% |
10位 | Johnson&Johnson 1.11% | VISA 0.9% |
同じ銘柄同士眺めると、VTIの方が銘柄数が多い分分散が効いてるので、構成比は微妙に低くなってます。
上でも書きましたが、これを、VTIは全米を買える!と捉えるか!SPTMはある程度の選別が働いているからいい!と捉えるかが、選択のポイントになります。
業種別の構成比率も見てみます。
SPTM | VTI | |
情報技術 | 26.26% | 26.20% |
一般消費財 | 12.96% | 16.50% |
ヘルスケア | 12.56% | 13.30% |
金融 | 11.62% | 11.30% |
通信サービス | 10.21% | 3.20% |
資本財 | 9.52% | 13.80% |
生活必需品 | 5.78% | 4.80% |
不動産 | 2.97% | 3.40% |
素材 | 2.93% | 2.00% |
公共事業 | 2.63% | 2.70% |
エネルギー | 2.57% | 2.80% |
1%以上違うところは黄色でマーカー引きました。
こうしてみると結構違うなというのが率直な感想です。
VTIは一般消費財(Amazonとかマクドナルドとか)と資本財(ボーイングやスリーエムとか)に結構振られていて、SPTMはコミュニケーション(Netflixとかベライゾンとか)に結構振ってるなというのが見て取れます。
とはいえ、最後はどっちを選んでも分散は広く取れてるからいいじゃん、というのが私の考えで、私は好みで選べばいいかなと思います。
SPTMとVTIには若干の差はあるが、好みで選んで問題ない
SPTMとVTIの純資産額
これは上の表にも書きましたが、完全にVTIに軍配が上がりますね。
- VTI:2343億ドル(約24兆円)
- SPTM:49億ドル(約5000億円)
50倍の開きは効率的な運用という意味では、ハッキリ言ってSPTMには不利だと思います。
ただ、これはVTIというオバケファンドと比較するから霞んで見えるんですよね。
日本円換算で5000億円くらいあるSPTMの純資産総額は、2021年4月14日現在、日本のFund of the Year2020に選ばれたeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)のトリプルスコアくらいは余裕であるんですよね。
効率的運用ができる資産規模としては十分ではないかと、個人的には考えています。
投資信託をメインに据えるのであれば、こちらもご一読ください!
SPTMとVTIの経費率
これはどっこいどっこいですね。
- VTI:0.03%
- SPTM:0.03%
上で書いた純資産総額の観点から見ると、VTIの方が有利ですので、もしかしたら更なる経費率の削減もあるかもしれないですね、想像ですが。
ただ、単価についてはSPTMに軍配が上がりますので、それを理由に選んでも大外れはしないと思います。
分配金利回り
こちらもほぼ差はないと思います。
- VTI:1.25%
- SPTM:1.33%
若干SPTMの方がいいかなと思いますが、今後の市場価格の推移次第で如何様にでも変わると思います。
仮に、外国税額控除を面倒くさがってやらなかったと仮定すると、どちらも配当金だけで追加買付をするためには100株持つ必要があります。
- VTI:220万円程度
- SPTM:60万円程度
この辺の必要資金も加味して、どちらを買うかを決めるのがいいかなと思います。
SPTMの方が必要資金を抑えられる
取り扱い証券会社
以下の証券会社で取り扱いがあります。
他にも外資系なんかもあるにはありますが、一般口座のみだったりと、初めての方には使いづらい面もあるので、割愛してます。
- SBI証券
- 楽天証券
- マネックス証券
- DMM証券
SPTMについては、VTIほどのネームバリューはないので、手数料無料で購入をするのであれば、マネックス証券のゼロETFプログラムを利用する事になります。
ただ、今後は間違いなく対応されてくると思います。
正直、上4つであればどこでもいいとは思いますが、まだ証券口座を開いていない方は、SBI証券や楽天証券のどちらかを選べば、間違いはないと思います。
証券口座は海外株を取り扱っているなら、どこでも大丈夫
まとめ
今回はSPTMとVTIの比較をしてみました。
どちらを買い付けるかは好みのレベルではと個人的には考えてますが、投資判断は以下の点から考えるのがいいと考えます。
- 買付額を抑えながら、ある程度選抜の効いたものに対し投資したい⇒SPTM
- 全米を一本で丸ごと買いたい、ネームバリューも重視したい⇒VTI
繰り返しになりますが、どちらを選んでも大外れはしないと思います!
私は投信メインかつ新規買付は配当金再投資のみなので、当面は株価の低いSPTMをメインで買い付ける事になります。
この記事が何かのお役に立てば幸いです。
コメント
コメント一覧 (2件)
現在米国ETFはVTIメインにとQQQとVIGをちょっと所有しています。
まだまだ初心者ではっきりと買いつける銘柄を決めていないのですがSPTMに興味を持ち
こちらのブログに伺いました。
現在IDECOでは全米とS&Pに計6.8万積み立ててるので一般NISAでETFを気が向いたら買ってる感じです。
まだ枠を使ってないので年内に80万程購入する予定です。
投資信託が良いのかと思っていますがETFリアルタイムで買えるところが魅力だとも思っています。
取り留めなくて申し訳ないですがこれだけ手数料も落ちてきたら投信の方がやりやすいでしょうか?
コメントありがとうございます!
仰る通り、最近は投信の手数料が下がってきているのと、外貨への換金の手間やスプレッドもあるので、機械的に買い付けていくのであれば投信の方がいいかもしれません。
逆に、リアルタイムでの買い付けや外貨を持つことに価値を見出すのであれば、SPTMも有力な選択肢になります。
ETFの中では単価安めなので、ドルコストもやりやすいと思いますし。
分配金も何気にモチベーションになりますしね。
最終的には、どこに価値を見出すかになるかな、と思います!